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Google+のAKBストリームにゲーミフィケーションの未来を見た

 みなさん、Google+を使っていますか? たぶんこれを読んでいるほとんどの人が使っていないはずです。
 なのでほとんどの人がご存じないと思いますが、日本のGoogle+ではAKB48と公式タイアップをしていて、メンバー全員が公式アカウントを開設しています。
 
 AKB関係者以外はほとんどフォローしないなどここのAKBファンの行動は私のようなごく普通のネット廃人からするとなかなか異次元なので、興味をもってしばらく観察しているうちに面白いことに気がつきました。
 これは、ゲーミフィケーションのひとつの未来ではないでしょうか?

コメント先着ゲーム

 Google+ではコメントは500件までなのですが、人気の高いメンバーではその限界までコメントがつくことはいまだにあり、他のファンに先を越されると書き込めなくなります。そうでなくてもFacebookと同じように自分がコメントした投稿に他にコメントがつくと通知が飛ぶので、自分が他のファンにたいして優位にたったことをすぐに確認できます。
 これはゲームの基本的な構造である「プレイ&フィードバック」そのものです。また、達成状況はコメント欄によって視覚化されることになりますが、これもゲームのランキングなどで広く行われているゲーミフィケーションの基本です。
 なので、一度優位に立つことに成功したファンは同じ経験を求めてより熱心にコメントをつけるようになると考えられますし、事実この競争はかなり激しく、コメントが後から編集できることを利用して一文字だけの投稿をする、などということも行われていました。

選抜ゲーム

 とはいえ200人以上もメンバーがいるので全員が制限されたところまでコメントがつくわけではありませんし、過熱状態も長続きしません。また、コメント先着ゲームにおいてはフィードバックがゼロになってしまう層がどうしてもでてきます。

 そこで第二のゲームとして存在するのが、メンバー選抜ゲームです。ほとんどの人が想像つくでしょうが、やはりGoogle+での活躍を元にした選抜メンバーというものがあります。これによってコメントだけでなく、ただ+1だけをつける行為にも意味が与えられるようになりました。
 
 また、盛り上がっている投稿を表示する注目の投稿という機能があるのですが、これにお気に入りのメンバーが入るかというのももうひとつの選抜ゲームになるでしょう。最近、名前が人気の投稿から注目の投稿に変わると同時にアルゴリズムが変更され、ごく普通の人でもここに表示されるようになりましたので、注目の投稿をAKBで占拠するという目標も出てきています。

夢の行く先

 ここまで見てきたとおり、AKBストリームはゲーミフィケーションをベースにしたサービスやソーシャルメディアマーケティングに関わる人にとっては夢のような構造です。
 マネタイズに直結する公式コンテンツに一方的に関心が集中し、単に食べたものを投稿するだけでバイラルが発生する。そんなものがあれば、成功は約束されたようなものです。
 これはメンバー以外の投稿には見向きもしないという独特の文化に支えられたものですが、イノベータ理論における後期層、本来であればマスメディアからの情報にしか見向きもしない層に対するサービスを考える上では十分応用が効きます。

 一方で結果が明確になる分、ファンにとってはきわめて消耗が激しい構造といえます。優位にたったファンはその優位を維持するために非常に高いコストを要求されます。いつ投稿されるかもわからないお気に入りのメンバーの投稿をチェックし、反応するというのは体力的にも精神的にも時間的にもCDを何百枚も買うよりはるかにコストがかかります。
 もちろんこれは金を払ったユーザーと時間を払ったユーザーを対等に扱うというコミュニティゲームの原則どおりなのですが、アイドルのファンに対してはおそらく効果が出すぎます。
 優位に立ったファンは消耗してつぶれて行き、立てなかったファンはフィードが薄いために離れていくことになるでしょう。長期的にはAKBというコンテンツの賞味期限を縮める結果にしかならないはずです。

 ゲーミフィケーションのひとつの未来だと考える理由は、ここにあります。ゲーミフィケーションはよくも悪くも劇薬であり、うまく使えば大きく活性化するものの、一歩間違えば単にコンテンツの寿命を縮めるだけのになりかねないのではないでしょうか?